公開日:2025年4月8日

ISO9001に基づく文書管理とは?要求事項から実践方法まで完全ガイド

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ISO認証を初めてご取得されるお客様向け!

文書の作成や管理にかかる負担を削減し、お客様の実態に合った、運用しやすいマネジメントシステムを構築できる!

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この記事は8分で読了することができます。

ISO認証を取得するうえで、避けて通ることができない「文書管理」。一方で、「どんな文書が該当するのかイマイチわからない…」「文書化を行う目的がわからず、どのように動くべきかイメージがわかない」などお悩みがある方も多いのではないでしょうか。

本記事では、ISO9001が求める文書管理の要求事項をわかりやすく具体的に解説します。

この機会に、ISO9001に基づく文書管理体制を整えて、組織の品質強化に繋げてみませんか。

1. 文書管理とは

文書管理とは、企業や組織が保有する文書(紙文書や電子文書)を適切に管理するプロセスのことです。単に文書を保有するだけでなく、文書の作成から分類、運用、保存、共有、保管までを包括的に管理することを指します。

適切な文書管理を行うことで、必要なときに迅速にアクセスし、すぐに確認・取り出すことができます。
近年では、電子文書の管理が主流となり、電子文書管理システム(DMS: Document Management System)を活用する企業が増えています。

2. ISO9001における文書管理の要求事項

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ISOとは、国際標準化機構という組織の略称です。そのISOが制定した、様々な分野における基準やルールに関する国際的な標準規格をISO規格といいます。ISO規格の中でも代表的なものとして挙げられるのが、ISO 9001(品質マネジメントシステム)です。

ここでは、ISO 9001における文書管理の要求事項に関して詳しく解説します。

なお、ISO9001以外の規格に関しても、実際に必要な文書や記録は異なりますが、文書化の要件は共通ですので、参考にしてください。

ISO認証取得の流れやまず決めるべきことの3つを徹底解説。ISO初心者の方や具体的に動き始めたい方にピッタリです。

文書化が必要な事項について

ISO9001は、お客様からの要求や法規制に適合した製品やサービスを提供し、顧客満足度を継続的に向上させるための仕組みです。

従業員ひとりひとりが組織の目標を意識したパフォーマンスができるように、以下のような文書管理に関する要求事項があります。

7.5.1 一般

組織の品質マネジメントシステムは,次の事項を含まなければならない。

a) この規格が要求する文書化した情報

b) 品質マネジメントシステムの有効性のために必要であると組織が決定した,文書化した情報

引用元:​​JIS Q 9001:2015 品質マネジメントシステム 要求事項

解説!

ここでは、文書化が必要な内容 (文書化した情報) は、

①ISO9001のなかで文書化(規定や記録)することが求められているもの  a)より

②組織内で文書化(規定や記録)することを決定したもの b)より

の2種類があると述べています。

①はISO9001の箇条4~箇条10の要求事項で定められているものです。例えば、箇条4.3には「組織の品質マネジメントシステムの適用範囲は文書化した情報として利用可能な状態にし、維持しなければならない」という一文があります。

②は組織ごとに文書化することを決めた事項です。ISO9001では文書化の程度は、組織の規模や活動内容により異なると注記にかかれています。

つまり、①を満たせば②は組織ごとに自由に決められることになります。

✔check!

ISO9001の要求事項で文書化を要求している文書を下記に列挙します。

など

文書の適切な作成・更新

前項で定められた、文書化した情報は、その文書の作成及び更新に関して以下のように定められています。

7.5.2 作成及び更新

文書化した情報を作成及び更新する際,組織は,次の事項を確実にしなければならない。

a) 適切な識別及び記述(例えば,タイトル,日付,作成者,参照番号)

  1. b) 適切な形式(例えば,言語,ソフトウェアの版,図表)及び媒体(例えば,紙,電子媒体)
  2. c) 適切性及び妥当性に関する,適切なレビュー及び承認

引用元:​​JIS Q 9001:2015 品質マネジメントシステム 要求事項

ここでは、文書の識別や検索が可能で、使用しやすく、適切な情報を維持するために、文書作成・更新のルールに関して定めています。
以下に、要求事項の目的と実施事項の例を紹介していますので参考にしてください。
要求事項実施事項の例
a) 適切な識別及び記述文書には必ず以下の項目を入力・設定する
・文書名
・作成者/更新者
・制定日/改訂日
・文書番号
b) 適切な形式文書に応じて紙媒体・電子媒体を選択する
c) 適切性及び妥当に関する、適切なレビュー及び承認作成及び更新した文書に関しては、以下のフローに基づき評価・承認する
▶上長からの評価→部門長及び関係各社の承認

文書の適切な管理

文書化した情報は、その文書の管理に関しても以下のように定められています。

7.5.3 文書化した情報の管理

7.5.3.1 品質マネジメントシステム及びこの規格で要求されている文書化した情報は,次の事項を確実にするために,管理しなければならない。

  1. a) 文書化した情報が,必要なときに,必要なところで,入手可能かつ利用に適した状態である。
  2. b) 文書化した情報が十分に保護されている(例えば,機密性の喪失,不適切な使用及び完全性の喪失からの保護)。

引用元:​​JIS Q 9001:2015 品質マネジメントシステム 要求事項

解説!

7.5.3.1では、文書化した情報が、どのような状態にあるべきかを定めています。端的に言うと以下の2点です。

①「文書の閲覧や更新など必要なシチュエーションで、必要な人間がアクセス可能で、かつ正しく最新の情報である状態」にすること (aより

②「適切な人間のみがアクセスできる状態になるよう権限の設定などを行い、文書内の情報が正しく保護されている状態」にすること (bより

7.5.3.2 文書化した情報の管理に当たって,組織は,該当する場合には,必ず,次の行動に取り組まなければならない。

  1. a) 配付,アクセス,検索及び利用
  2. b) 読みやすさが保たれることを含む,保管及び保存
  3. c) 変更の管理(例えば,版の管理)
  4. d) 保持及び廃棄

引用元:​​JIS Q 9001:2015 品質マネジメントシステム 要求事項

7.5.3.2では、文書化した情報に対し、実施すべき管理を定めています。

以下に、管理の例を紹介していますので参考にしてください。

要求事項管理の例
a) 配布、アクセス、検索及び利用必要に応じて文書の配布・アクセス・検索ができるように以下の項目を設定する。
・配布方法
・アクセス権の明確化
・文書の検索ができるような管理
b) 読みやすさが保たれることを含む、保管及び保存文書が破損・紛失しない状況で保管する
c) 変更の管理文書の改訂が行われた際には、改訂箇所の明確化及び、旧版が誤って使用されないように版数管理のルールを設定し、徹底する。
d) 保持及び廃棄文書に応じて保持及び廃棄に関して期限を設定し、法廷保存文書は法律に準じて保持及び廃棄する。

3. ISO9001に沿った文書管理を行うメリット

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ISO 9001に基づいた文書管理を行うには一定数の文書の作成や管理が必要になるので、負担に感じる方は多いでしょう。一方でメリットも多くあります。

メリット① 業務の効率化や属人化の解消
ISO9001に準拠した文書管理体制を構築する過程は、今までなかった手順書の作成やマニュアルを見直しする機会になります。業務の手順を明確にすることで、新しくプロジェクやチームに参加したメンバーも短時間で業務に慣れることができます。

また、担当者が不在の際や引継ぎの際にかかる負担の軽減に繋がります。

メリット② リスク管理の強化
ISO 9001に基づく文書管理は、リスクを適切に評価し、管理するためのフレームワークを提供します。文書化された手順や方針により、リスクが明確化され、予防措置や対策が適切に講じられます。これにより、予期しないトラブルや問題を未然に防ぐことができ、組織の安定性が高まります。

メリット③ 信頼性の向上

製品やサービスの品質に関するデータ(顧客からのクレームや改善要求、製品の品質に関する記録など)を一元管理することで、問題点の早期発見や迅速な課題解決が可能になります。
顧客や取引先のニーズを満たした製品・サービスの提供に必要な体制ができるため、企業の信頼性の向上に繋がります。

さらに、監査やレビューの際だけではなく、ISO9001の規格要求事項を満たした管理を行っていることを対外的に証明することも、企業のイメージアップに重要な要素になります。

4. 文書管理システムの導入

文書管理を円滑に進めるためには、専門の文書管理システムを導入することも手段の一つです。

システムを導入することで、紙媒体での運用と比べると、文書の保管や管理にかかる負担を減らし、セキュリティ強度も向上します。

 

また、ISO規格は数年に一度の頻度で規格の改訂があり、その都度臨機応変に対応することが求められます。ISO9001は前回2015年に規格の改訂がありましたが、その際は、品質マニュアルの作成要求がなくなりました。次回は2026年以内に改訂版が発行される予定ですので、システムを導入する際は、規格の改訂に対応できるシステムを導入しましょう。

✔ ISO文書管理をする上で搭載されていると便利な機能

改訂版ISO9001規格の最新の進捗状況や今後のスケジュール、変更内容、そして必要な準備や移行手続きについて説明します。

東京スタンダードでは、ISO認証を初めてご取得されるお客様向けに、文書管理ツール『T-web』を用いたトータルサービスを提供しております。

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5. ISOの文書管理に関してよくある質問

Q1 要求事項にある「文書化した情報」とは何ですか?

「文書化した情報」とは、組織が品質マネジメントシステム(QMS)を効果的に運用し、運営状況を把握し、監査や評価を実施するために記録・管理する必要がある情報のことを指します。

 

この「文書化した情報」には、規定やマニュアルなど最新版を更新し続けるもの②規定やマニュアルに基づいて事実や結果を記録し続けるものがあります。要求事項では、「文書化した情報を維持する=」「文書化した情報を保持する=」を指しています。

Q2 文書の保管期間はどのくらい必要ですか?

ISO9001では、文書の保管に関して具体的な保管期間は明記されていませんが、規格では、文書が「正確かつ最新であること」や「適切に保管されること」が求められています。

そのため、文書の保管期間については、組織のポリシーや関連する法律・規制に従って決定しましょう。なお、法定保存文書の保存期間は以下のとおりです。

✔ 法定保存文書の保存期間

Q3 文書更新の頻度はどれくらいが適切ですか?

文書の更新頻度は、法規制や、顧客要求、内部監査の結果などに基づいて決めることがよいでしょう。一方で、技術や規制の変更、業務プロセスの改訂がある場合は臨機応変にレビューすることが望ましいと言えます。更新された文書が常に現行の状態を反映し、適切に管理されている状態にしましょう。

6. ISO9001の文書管理で品質向上と業務効率化を実現しよう

ISO9001における文書管理は、品質マネジメントシステムを効果的に運用するために欠かせない要素です。文書の作成、更新、保管、そして適切な管理を行うことで、品質の向上と業務効率の改善が実現できます。

ISO9001の文書管理は、単なる情報整理だけではなく、組織全体の品質管理の強化にも直結します。規定通りに文書を管理することは、内部監査や外部のISO認証審査においても重要なポイントとなり、認証を維持するための基盤となります。さらに、定期的な文書の見直しを通じて、品質マネジメントシステムの継続的な改善が促進され、組織の成長を支える重要な要素となるでしょう。

2023年東京スタンダード設立。エイエスアール株式会社、アームスタンダード株式会社、アフノールジャパン株式会社、QAICジャパン株式会社をグループ会社として持ち、ISO認証登録件数グループ合計5,500件以上の実績を持つ。長年の経験とノウハウを活かして、ISOをより活かすことができるお役立ち情報を発信。

記事の監修者

東京スタンダード編集部

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