公開日:2026年5月26日
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この記事の要約
毎年、情報セキュリティ教育は実施しているものの、
「情報セキュリティ教育、今年は何をテーマにすればいいのだろう?」
と感じている情報セキュリティ担当者の方は、少なくないのではないでしょうか。
IPAが公表している「情報セキュリティ10大脅威」を確認してみても、「どれも重要そうで、どれが自社に関係しているかが曖昧」と、テーマ選定に迷う声もよく聞かれます。
こうした悩みを整理する際の一つのヒントとなるのが、ISMS(ISO/IEC 27001)の視点です。
ISMSの「リスク」という考え方を手がかりにすることで、教育テーマを自社の状況や業務に結びつけて考えやすくなります。
脅威の注目ポイントや各脅威への対策、経営者・担当者別・優先度別に整理した一覧など、2026年版10大脅威を徹底解説。情報セキュリティに取り組む企業におすすめの記事です。
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情報セキュリティ教育のテーマ選びでは、ISMSの視点が役に立ちます。
理由は、自社にとって起こりうるリスクを把握し、それに応じた教育内容にしていくことができるからです。
ISMSでは、「すべての脅威に対応しよう」とするのではなく、「自社にとって何が最も重要で、どこにリスクがあるのか」を整理したうえで、優先順位を付けて対応していきます。
この考え方を取り入れることで、目的がぼんやりとした情報セキュリティ教育となってしまう、教育が年に一度の行事、いわゆる“イベント化”してしまうのを防ぐことができます。
また、自社の業務に合った教育内容になることで、「なぜこの内容を学ぶのか」「この教育が自分の業務とどう関係しているのか」も社員に伝えやすくなり、社員の意識レベルを上げることにもつながります。
ISMSの考え方を活かして自社のリスクを整理すると、情報セキュリティ教育のテーマも考えやすくなります。
ここでは、教育テーマを検討する際の一つの考え方の例として、ISMSの基本的なリスクアセスメントの流れを、教育テーマ選定に当てはめる形で紹介します。
① リスクの整理
② 教育テーマへの落とし込み
あくまで一例ではありますが、このような流れで考えることで、教育テーマを自社の業務やリスクと結び付けて整理しやすくなります。
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まずは、教育テーマの材料となる自社のリスクを整理します。
ここでは、「どの情報及び関連資産に、どのようなリスクがあり、影響がどの程度か」を整理するために、ISMSで用いられるリスクアセスメントの考え方を簡易的に活用します。
✔ リスクアセスメントの考え方を活用した整理の例
STEP1:自社が扱っている情報資産を洗い出す
STEP2:その情報資産に対して、どのようなミスやセキュリティ事故が起こり得るか(脅威)を考える
STEP3:上記の脅威が起きた場合に、どのような影響があるか(影響度)を考える
STEP4:上記を総合して、自社が持つリスクやその高さを明確にする
この段階では、詳細な評価や厳密な分析まで行うというよりも、
「どの情報に、どのようなリスクがありそうか」を全体として把握することが大切です。
なお、ISMSにおけるリスクアセスメントの具体的な手順や進め方について知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
ISMSリスクアセスメントの基本的な手順と進め方が分かりやすくまとめられている記事です。ISMSを運用している情報セキュリティ担当者様におすすめの記事です。
リスクの整理ができたら、次はその結果を、情報セキュリティ教育のテーマにどう活かすかを考えます。
リスクへの対応策としては、システムやツールの設定変更、管理方法やルールの整備といった対策が一般的です。
これらは重要ですが、それだけではリスクを十分に抑えられないケースもあります。
なぜなら、実際の業務では、日々その情報を扱う人の行動や判断が、リスクの発生や拡大に影響する場面があるためです。
そこで、人の行動や判断に関わる部分を切り出して、教育テーマとして整理します。
例えば、次のような点を教育テーマとして取り上げることで、リスクへの対応策と実際の業務を結びつけていくことができます。
このように、リスクを出発点に教育テーマを考えることで、教育は単なる知識の説明ではなく、自社の業務や状況に合った、実践的なトレーニングへとつながっていきます。
ここからは、リスクの考え方を踏まえて、近年多くの企業が課題として抱えやすいテーマを3つ紹介します。
このリスクは、上司や取引先を装ったメール・連絡により、不正操作や情報漏えいが発生するものです。
これらの攻撃は、システムの弱点だけでなく、人の判断や思い込みを突いてくる点が特徴です。
したがって、「手口を完璧に見抜く」ことよりも、違和感に気づき、立ち止まれるかどうかという点がポイントとなります。
✔ check! 教育の内容例【標的型攻撃・なりすまし連絡】
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最近は、クラウドサービスやリモートワークの普及により、情報の管理範囲が見えにくくなるリスクを、多くの企業が抱えています。
情報漏えいは、意図的な不正行為だけで発生するものではありません。
「社内のつもりだった」「便利だから使った」といった日常的な行動が、結果として情報漏えいにつながるケースもあります。
このようなリスクに対しては、社内のルールを周知するだけなく、情報の重要度や共有範囲を意識する視点を持ってもらうことが、重要になります。
✔ check! 教育の内容例【情報の持ち出し・共有範囲の拡大による情報漏えい】
また、近年、大企業の情報漏えい事故の背景として、取引先である中小企業が攻撃の起点となるケースも増えています。
情報セキュリティ対策が整っている企業を直接狙うのではなく、サプライチェーンの中にある企業の脆弱な部分を経由し、目的の企業の情報にアクセス・侵入する手法です。
この場合、自社が直接狙われていなくても、結果として取引先のネットワークや業務に影響を与えてしまう可能性があり、その影響は、自社の範囲にとどまらず、取引先や顧客との信頼関係にも及ぶこともあります。
こうしたリスクへの対応は、特定の対策だけで完結しないため、日常業務の中で、どのような経路からリスクが入り得るのかを考え、会社全体で意識していくことが重要になります。
✔ check! 教育の内容例【サプライチェーンリスクと信頼の意識】
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また、ISMSでは、教育を一度きりのイベントとして捉えるのではなく、組織や業務に根付き、継続的に見直されるものとして捉えます。
ここでは、その考え方を情報セキュリティ教育に取り入れるためのポイントを紹介します。
まず、一つ目のポイントは、業務に応じて「必要な知識や技量」を整理することです。
何故なら、実際の業務内容は部門や個人ごとに異なっており、情報資産の扱い方や求められる注意点にも違いがあるためです。
経理担当者と営業担当者、設計業務に関わる社員と、管理部門の社員では、特に注意すべきリスクや身に付けておきたい知識は異なります。
ISMSでは、業務にあたるうえで必要となる知識や技量を整理し、それに応じた教育を行います。
業務に合わせた教育を行うことで、より自分事として意識したり、注意事項に気を付けて業務を遂行したりできます。
二つ目のポイントは、教育自体を見直し続ける仕組みを作ることです。
ISMSでは、世間の状況や取引先の要望に応じて教育内容を改善し続ける、つまり教育のPDCAサイクルを回すということも重視しています。
これは、情報セキュリティを取り巻く状況が常に変化しているためです。
業務の進め方や利用するツール、新たに想定されるリスクに合わせて教育内容を更新していくことで、その時点の状況に合った、実効性のある教育につなげることができます。
例えば、次のようなタイミングは、教育内容を見直し、アップデートする良い機会となります。
例 自社の状況や置かれている状況に変化があったとき
例 インシデント・事故・ヒヤリハットが発生したとき
例 自社の規程やルールを変更したとき
例 業務の対象者や役割が変わったとき
例 内部監査・マネジメントレビューの結果による
このように、必要な知識を整理する、教育を定期的に見直す仕組みをつくるというISMSの視点を取り入れることで、情報セキュリティ教育を現場で活きる取り組みにしていくことができます。
東京スタンダードのISMS認証審査は、中小企業への審査経験が豊富な審査員が担当。現場の実態を理解しているからこそ、無理のない対応で安心して審査を受けられます。ISMS認証を通じて、情報セキュリティ対策を、次のステップへ進めてみませんか。
A:はい、教育はシステムやルールを補完する役割を果たすため、実施いただくことをおすすめいたします。
設定やルールがあっても、最終的に操作・判断するのは人であることも多く、実際に多くの情報セキュリティ事故は、人の操作や判断をきっかけに発生しています。
教育は、それらの対策を置き換えるものではなく、より効果的に機能させるための支えとなります。
A:以下の3つの観点でリスクに優先順位を付け、段階的に実施するのがおすすめです。
-情報資産の重要度
-脅威の発生頻度
-脅威が発生した際の影響度
A: はい、教育テーマを自社で選定することで、自社向けの教育として実施していくことができます。
教材の内容に加えて、「どのテーマを、誰に、どの目的で受講させるか」を自社で判断することが重要です。
教育の狙いが明確になることで、同じ教材でも、実務へのつながり方が大きく変わります。
情報セキュリティ教育の目的は、社員を専門家にすることではなく、社員が自分の業務の中で、注意すべき場面に気づき、適切に判断できる状態を支えることです。
ISMSのリスクベースの考え方は、「今、どこに力を注ぐべきか」を示してくれる指針になります。
まずは、今の会社はどのようなリスクがあるのかという視点から、教育テーマを考えてみてはいかがでしょうか。
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ISMSリスクアセスメントの基本的な手順と進め方が分かりやすくまとめられている記事です。ISMSを運用している情報セキュリティ担当者様におすすめの記事です。
2023年東京スタンダード設立。エイエスアール株式会社、アームスタンダード株式会社、アフノールジャパン株式会社、QAICジャパン株式会社をグループ会社として持ち、ISO認証登録件数グループ合計5,500件以上の実績を持つ。長年の経験とノウハウを活かして、ISOをより活かすことができるお役立ち情報を発信。
記事の監修者
東京スタンダード編集部
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