公開日:2026年4月22日

ISOの不適合とは?| 不適合のパターンから是正処置の手順やポイントまでを解説

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この記事の要約

ISO認証審査において、不適合は、要求事項を満たすことができていない状態を指します。

不適合に対して、「良くないもの」という印象をお持ちの担当者もいらっしゃるかもしれません。

しかし、実は不適合には組織にとって大きな価値があります。不適合は、組織がより良くなるための「改善」の出発点です。

 

本記事では、ISOにおける不適合の基本を整理しながら、不適合のパターンや、不適合が発生した際の適切な是正処置の対応方法などをお伝えします。

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    不適合とは?

    不適合の定義

    不適合とは、組織の仕組みや運用が「要求事項を満たすことができていない状態」のことです。

    この定義を聞くと、やはり「不適合=良くないもの」というイメージを持ってしまう方もいらっしゃるかもしれません。

    しかし、審査では、不適合が起きること自体が問題視されているわけではありません。
    むしろ、審査では起こってしまった不適合にどのように対応したのかという姿勢が見られています。

    不適合ゼロでも注意が必要!?

    また、「不適合ゼロ」は、一見すると理想の状態に見えるかもしれませんが、組織の成長という観点では、必ずしもプラスとは限りません。

    不適合が見つからない背景には、次のようなケースも考えられますので注意が必要です。

    ✔check! 不適合ゼロの注意パターン

    不適合の主なパターンとその考え方

    ISO認証審査は、信頼の証としての役割以外にも「外部の専門家による客観的な視点を得られる」というメリットがあります。

    第三者の目線が入ることで、普段は気付きにくい改善ポイントが明らかになります。
    そう捉えると、不適合が出ること自体はネガティブな出来事ではなく、むしろ、組織の品質向上に役立つ貴重な機会として対応していくことができるのではないでしょうか?

    ここでは、審査で指摘されやすい「不適合となる代表的なケース」をご紹介します。
    自社の仕組みをより良くするきっかけとして、ぜひ参考にしてみてください。

    不適合の主なパターン①:規格要求事項を満たせていない

    ISOにおける「規格要求事項を満たせていない」という事象は、不適合の中でも多く見られるパターンのひとつです。

    ISO 9001・14001・45001・ISO/IEC27001 などの規格には、「何を計画し、実施し、記録すべきか」などの要求事項が定められており、これらが十分に実施されていない、規格が求める基準を満たせていない場合に不適合と判断されます。

    要求事項を満たせていない事象は2つのケースに分類できます。仕組み自体に欠けている要素があるケースか、もしくは仕組みはあるが現場で運用ができていないケースです。不適合がどちらのケースかを見極めることが必要です。

    仕組み自体に欠けている要素があるケース

    例えば「仕組み自体に欠けている要素があるケース」には次のようなものがあります。

    ✔ 例えばこのような場合です 

    このように、「やり方が決まっていない」「必要なステップが定義されていない」状態は、仕組みに穴があるケースです。

    スタートアップ企業など、まだ整備ができていない状況でも、不適合になってしまうため注意が必要です。

    仕組みはあるが現場ができていないケース

    例えば「仕組みはあるが現場ができていないケース」には次のようなものがあります。

    ✔ 例えばこのような場合です 

    上記のようなケースの場合、監査手順・チェックリストの見直しをして使いやすくする、年間スケジュールを前倒しで設定し、計画を早めに確定させる、タスク管理表や進捗一覧を活用し、対応状況を見える化する等、運用をしやすくなるような工夫が必要となります。

    規格要求事項を満たせていない状態は、単に「できていない」ということを示すのではなく、「仕組み自体をより良くするためのチャンス」です。

    このような気づきを前向きに活かし、改善につなげることで、組織の品質向上に役立てていくことができます。

    不適合の主なパターン②:自社のルールと運用の不一致

    自社で定めた手順や基準と、実際の運用との間にギャップが生じることも、不適合としてよく指摘されるパターンです。
    この場合、規格要求事項の項目が満たせているため、気づきにくい・対応が後回しになりがちであるのが特徴です。

    代表的な例としては、下記のような事例が挙げられます。

    ✔ 例えばこのような場合です 

    一見すると「個人の業務の問題」のようにも見えますが、ISOでは人のミスではなく、仕組みに焦点を当てることが重要です。

    多くの場合、このようなギャップは「現場の負担とルールが合っていない」ことに起因しています。

    例えば、現場が非常に忙しい中で毎月の点検を課しても実行が困難だったり、承認フローが複雑すぎて逆に業務が滞ってしまったり、ある部門の業務が多すぎて現場の負担になっているなど、実態に合わないルールとなっている場合が多いです。

    このように不一致が表面化することは、ルール自体を見直す絶好の機会です。現場と対話しながら、実情に合わせて手順を更新するなど対策を講じることで運用がスムーズになり、業務効率も向上します。

    不適合をきっかけに、現場に寄り添った“使いやすい・運用しやすいルール”へのブラッシュアップに取り組んでいくことができます。

    不適合の主なパターン③:証跡(エビデンス)の不足

    認証審査では、証跡(エビデンス)として「実施したことを示す記録」を確認します。
    この記録が不足している場合や十分でなかった場合も不適合として扱われます。

    例えば、下記のような事例が挙げられます。

    ✔ 例えばこのような場合です 

    これらはつい「記録を忘れた」という人のミスとして捉えられがちですが、ここでも“人ではなく仕組み”に着目することが重要です。

    証跡不足の背景には、記録方法が複雑で現場に負担がかかっていたり、そもそも記録の意義が十分に共有されていなかったりなど、運用面の課題が隠れていることが多くあります

    証跡不足は「記録しなかった」という単なる問題ではなく、記録に関する仕組みを改善できる絶好のチャンスです。
    記録が負担になってしまっている場合、もっと簡単な記録フォーマットに変更したり、Excelやタブレット入力に統一したり、チェック形式にして作業時間を短縮するなど、仕組みを効率化する方向で改善することができます。
    また、ISOの浸透の一環として、記録の意義を共有することも、現場の理解や運用の定着につながります。

    記録には 「実施の証明」だけでなく、「原因の特定や再発防止策の立案」、「トレーサビリティの確保」といった目的があります。単なる“書類”ではなく、組織を守り、未来のリスクを減らすための大切な仕組みです。

    不適合を通じて、運用方法そのものを見直し、「記録しやすい仕組み」に改善することができれば、組織全体の透明性と安定性を大きく向上していくことができます。

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    不適合が出た場合の是正処置の手順とは?

    審査で不適合が指摘されると、担当者としては思わずドキッとしてしまいますよね。また、不適合の種類や背景が理解できたとしても、「再発防止策って結局どう対応するのが正しいのか?」と迷う担当者の方も多いのではないでしょうか。

    ここでは、不適合が発生した際にどのように是正処置応をしていけばよいのか、そのステップをISO9001の箇条10.2(b)に沿ってご紹介します。

    是正処置の流れ

    STEP1:不適合内容の正確な把握

    まず、最初に行うべきことは、不適合の内容を事実ベースで把握していくことです。

    上記の視点を参考に、不適合の内容を洗い出していきましょう。

    特にこのステップでは、推測を混ぜず、事実のみを洗い出すことで整理しやすくなります。

    ✔check! 事実の洗い出し例

    点検記録において、2025年10月分の記録が存在しなかった。

    点検記録において、担当者が多忙のため、2025年10月の記録ができていなかった。

    上記のような事実の整理により、改善の方向性が見えてきます。

    STEP2:原因の深掘り・類似不適合の確認 等

    STEP1で整理した事実をもとに、「なぜこの不適合が起きたのか?」 を丁寧に掘り下げます

    ISOが重視するのは、担当者のミスではなく、「仕組み自体の課題を明らかにすること」です。

    したがって、この原因の深堀りは大切なプロセスと言えます。
    ここでは、代表的な分析方法を紹介します。

    ✔check! 代表的な分析方法の紹介

    なぜなぜ分析

    原因に対して「なぜ?」を繰り返すことで、原因を一段ずつ掘り下げ、根本原因を特定します。一般的には、5回程度の「なぜ?」で根本原因にたどり着くことが多いとされています。

    特性要因図や業務フロー図の活用

    特性要因図では、人・方法・設備・材料・環境など、多角的な視点から原因を整理できます。
    また、業務フロー図 を使うことで、作業の流れの中で、どの段階に原因があったのか、手順の抜けや曖昧な部分はどこかといった点が見えやすくなり、仕組みの課題を特定しやすくなります。

    原因を深掘ることで、表面的な修正ではなく、再発しない根本改善へつながるようになります。

    また、原因を整理したら、次は 「同じ事象が他の部署や工程でも起きていないかも確認しましょう。
    似たプロセスや過去の不適合との関連性について、確認を行うと効果的です。
    不適合が出た部署・工場だけでなく、組織全体の仕組みの強化につながります。

    STEP3:再発防止策の設定 

    STEP2で“根本の原因”が明らかになったら、次は 再発を防ぐための根本的な改善策を策定していきます。

    ここでは、単なる応急対応ではなく、根本的な原因を取り除くために、仕組みをどう見直すか?という視点が重要になります。

    具体的には、

    といった“仕組みの改善”を検討していきます。

    また、この段階では現場の意見を積極的に取り入れることがとても有効です。

    現場にとって負担が大きい改善は定着しづらいため、「要求事項や自社の求めるライン」と「現場で実際にできるライン」を共有しながら、運用しやすく、継続できる改善策 にしていきましょう。

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      STEP4:実施と記録

      是正処置の内容が決まったら、実際に改善策を実行 します。

      その際には、ISO9001の箇条10.2.2 が求めるように、根本的な原因を取り除くために、仕組みをどう見直したか?という視点が重要になります。

      具体的には、

      といった内容を 記録として残すことが必須 です。

      この「実施」と「記録」は、是正処置の実施を証明するだけでなく、有効性確認にも必要なデータとして活用していくこともできます。

      改善策は、実施して終わりではありません。記録することで、改善を“組織の財産”として蓄積していきましょう。

      STEP5:有効性の確認

      STEP5の「有効性の確認」は、不適合対応の中では見逃されやすい部分です。しかし、改善策を作成し実施しただけでは、まだ改善プロセスは完了していません。

      「決めた対策が現場でしっかり機能しているか」
      「同じ不適合が再び発生していないか」

      この振り返りを行うことで、組織の仕組みが定着し、再発防止の効果が高まっていきます。

      では、有効性の確認ではどのようなポイントを押さえれば良いのでしょうか。
      ここでは、着眼点のポイントを紹介します。

      ✔check! 有効性の確認で押さえておきたいポイント

      このステップ1~ステップ5の一連のプロセスを実践することで、不適合は“組織を成長させる気づき”へと変わっていきます。

      ISOにおける不適合は、決してマイナスではありません。

      むしろ、不適合は組織の一段上のステージへ進むためのステップです。

       

      これからは、ぜひ不適合にポジティブに向き合い、ISOの力を最大限に活かしていきましょう。

      ISOのマネジメントレビューが形骸化していませんか?
      本記事では、マネジメントレビュー本来の目的や進め方を紹介します。マネジメントレビューの質を高めたい担当者様に役立つ内容です。

      2023年東京スタンダード設立。エイエスアール株式会社、アームスタンダード株式会社、アフノールジャパン株式会社、QAICジャパン株式会社をグループ会社として持ち、ISO認証登録件数グループ合計5,500件以上の実績を持つ。長年の経験とノウハウを活かして、ISOをより活かすことができるお役立ち情報を発信。

      記事の監修者

      東京スタンダード編集部

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